「自分の家族に受けてもらいたい治療」をすべての患者さんに
私は大学の補綴学講座の大学院で、審美領域におけるメタルフリー材料の研究や、入れ歯・被せ物(差し歯)を専門に診療してきました。現在も同じ大学で非常勤講師として学生や若い歯科医師の指導に携わっています。また、歯科医師になる前には歯科技工士として働いていた経験があり、技工士免許も持っています。そうした背景から、入れ歯や被せ物の治療には強い思い入れと自信があります。
ここでは、クリニックの特徴や、これまでの歩み、私が大切にしている治療方針についてお話ししたいと思います。
―― クリニックの特徴について教えてください。
当院は、「しっかり噛めて、見た目も自然で、美味しく食事ができる口元を長く保っていただくこと」を大きなテーマに掲げています。むし歯や歯周病の治療はもちろんですが、その先にある「噛み合わせ」や「入れ歯・被せ物」をとても重視しているのが特徴です。
単に悪いところだけを削って詰めるのではなく、「どんなものを食べたいか」「今後どのくらいご自身の歯を残していきたいか」といった将来のイメージを患者さんと共有しながら、一本の歯ではなくお口全体を見据えた治療計画を立てるよう心がけています。
また、できるだけ金属を使わないメタルフリー治療にも力を入れています。金属アレルギーへの配慮だけでなく、歯ぐきとの境目が黒ずみにくく、自然な透明感のある仕上がりを目指せる点も大きなメリットです。見た目だけではなく、清掃性や噛み合わせも含めて「トータルで無理のない口元」をご提案しています。
―― 歯科医師になられるまでのご経歴を教えてください。
もともとは手先を動かすことが好きで、ものづくりにも興味があり、最初に選んだ道が歯科技工士でした。技工士として、入れ歯や被せ物、詰め物などを作る仕事を通じ、「この技工物を実際にお口に入れている先生は何を考えているのだろう」「患者さんはどんなふうに感じているのだろう」と、診療の現場への興味がどんどん膨らんでいきました。
その中で、「作る」だけでなく、「直接患者さんと向き合いながら治療をしたい」という思いが強くなり、歯科医師を志しました。歯学部卒業後は大学の補綴学講座に入局し、大学院では審美領域におけるメタルフリー材料の研究に取り組みました。臨床では、入れ歯治療や被せ物、噛み合わせの治療を中心に多くの症例を経験させていただきました。
現在も非常勤講師として大学に関わり続けているのは、自分自身が学び続けるためでもあり、若い世代に補綴治療の大切さや楽しさを伝えたいという思いがあるからです。大学で得た知識や経験を、日々の診療でしっかり生かしていきたいと考えています。
―― 入れ歯や被せ物の治療において、特にこだわっているポイントは何ですか?
まず何よりも、「患者さんが何に困っているのか」を丁寧に伺うことです。見た目が気になるのか、噛みにくさがつらいのか、しゃべりづらさが気になるのか。お一人おひとり、優先したいポイントは違います。
その上で、歯科医師としての視点からは「長く使えるか」「お口全体のバランスを崩さないか」「清掃しやすいか」といった点を必ずチェックします。たとえば見た目だけを追求してしまうと、噛み合わせが不安定になったり、歯ぐきへの負担が増えたりすることもあります。逆に、機能だけを優先すると、せっかく治療したのに笑うと銀色が目立ってしまうこともあります。
そうならないように、「見た目」「噛みやすさ」「お手入れのしやすさ」のバランスを大切にしながら、患者さんと一緒に最適な素材や設計を選んでいくことを重視しています。
―― 歯科技工士の資格をお持ちであることは、どのような強みにつながっていますか?
技工士として現場で働いていた経験があることで、「この形にすると、技工士さんはどんな作業工程になるか」「ここを薄くしすぎると、強度や適合に影響が出てしまう」といった、製作サイドの感覚もイメージしながら設計を考えることができます。
また、口の中だけでなく「模型上でどう見えるか」「咬合器の上でどう動くか」といった技工の視点を踏まえて診療できるため、技工士さんとの連携がスムーズに行えるのも大きな強みです。
一見同じように見える入れ歯や被せ物でも、わずかな角度や厚みの違いが、噛み心地や発音のしやすさに影響を与えることがあります。技工士としての経験を踏まえて、その「わずかな差」にこだわり抜けることが、結果として「よく噛める」「長く使える」補綴物につながっていると感じています。
―― 日々の診療で、患者さんとのコミュニケーションで心がけていることは?
初診の方の多くは、「どこまで治療が必要なのか」「どれくらいの期間・費用がかかるのか」といった不安を抱えて来院されます。そのため、いきなり治療の話に入るのではなく、まずはじっくりとお悩みや生活背景を伺うことを大切にしています。
たとえば、「入れ歯が合わなくて痛い」とおっしゃる方の中には、「人と食事に行くのが怖くなってしまった」「話していると外れそうで不安」といった、生活や気持ちの面でのつらさを抱えている方も少なくありません。そうしたお気持ちの部分も含めてお聞きし、一緒にゴールを共有した上で治療を進めるようにしています。
説明の際には、専門用語をできる限り避け、模型や写真を使いながら、「なぜこの治療が必要なのか」「他にどんな選択肢があるのか」を丁寧にお伝えします。最終的に選ぶのは患者さんご自身ですので、納得して選んでいただけるよう、情報提供は惜しみません。
―― 今後、どのようなクリニックを目指していきたいですか?
これからの日本はますます高齢化が進み、「きちんと噛めるかどうか」が健康寿命に大きく関わってきます。入れ歯や被せ物といった補綴治療は、まさにその要となる分野です。
当院では、単に「悪くなったところを治す」だけでなく、「これから先の10年、20年を見据えた口腔内の設計」をご提案できるクリニックでありたいと考えています。そのために、補綴学の知識と技工士としての経験を生かしながら、予防・メンテナンスにも注力し、「悪くなりにくい環境づくり」にも取り組んでいきたいと思っています。
―― 最後に、患者さんへのメッセージをお願いします。
入れ歯や被せ物の悩みは、「年齢のせいだから仕方ない」「どこで治療しても同じだろう」とあきらめてしまわれがちです。しかし、診査・診断をしっかり行い、その方に合わせた設計を行うことで、噛みやすさや見た目、日常生活の快適さが大きく変わることも少なくありません。
「食事が楽しめない」「人前で笑うのが恥ずかしい」など、どんな小さなことでも構いませんので、まずは一度ご相談いただければと思います。
これまでの大学での経験と、技工士として培ってきた技術を生かし、「自分の家族に受けてもらいたい」と思える治療を、すべての患者さんに提供できるよう努めてまいります。どうぞお気軽にご来院ください。

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